つるつるの手帖

なにかおもしろいことないかなー

「iBeacon」で出来そうなことを、しつこく考えてみた

■ 「iBeaconならでは」って、どんな場面かな?


先日のiBeaconについてのエントリーからしばらく時間が経ちましたが、再び「できそうなこと」を考えてみます。

前回のエントリー → iOS「iBeacon」で出来そうなことを考えてみる - 鶴の眼で見たモノとコト

前回も書きましたが、これはAppleがiOS7に搭載したBluetoothLEがベースのiBeaconという技術を用いて、私個人が想像する未来の「こうなったらいいな」を書き綴った文章です。
技術に詳しい人間が、現時点で実現可能なサービスについて書いたものではありませんので、ご承知おき下さい。もし技術に対する基本的な認識が間違ってたりする部分がございましたら、ご指摘いただければ、内容を修正します。


前回書いた後、気になっているのは、iBeaconならではの使い方とは、どんな場面でより面白くなるのだろうか、という事です。
GPSの場合、例えばナイキのランニングアプリのように、特定の個人と今いる場所とを結びつけ、行動を記録していくような使い方が考えられるのですが、現時点でネットに挙げられているiBeaconを用いたアイディアの多くも、この延長線上にあるような気がします。ポイントサービスしかり、特定の個人向けクーポンしかり、決済の仕組みしかり……。

しかしiBeaconの場合、小さなビーコンが設置された屋内で使われる事が前提ですから、この「屋内である」部分をもうちょっと活かしたい気がします。屋外でやっていたことが屋内でもできるようになった、だけではつまらない。
例えば、ヒト場所とを結びつけるのではなく「間接」的にヒトとを結びつけるようなサービスは作れないでしょうか。
ある特定の趣味を持った人々が集まるような空間で、店内に設置したビーコンを介して個人と個人とを結びつけ、個人が持っている「欲求」を満たすようなサービスが生まれたら面白い。ここでいう「欲求」とは「発言を人にも聞いてもらいたい」「知っている事を、この場で共有したい」「上手くできる事をこの空間にいる他の人にも見せたい」といった、ソーシャル時代ならではの、自己をアピールしたいという欲求です。

ヒトと人が「直接」つながったり、より深くつながりたいのなら、Facebookなど他のSNSサービスを使えばよいわけですから、設置されたビーコンを介して、知らない者同士による、今この場限りのドライな結びつきを作り出し、そこでの体験を共有するような使い方が理想です。
ただ、ゲームセンターの対戦型ゲームのように、特定の機器の中だけで結びつくのも面白くない。iBeaconならではのサービスを実現させるには、そこに現実の空間ならではの「何か」が介在しないと面白さが拡がらない気がします。


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■ 例えば、現代版ジュークボックス

前回、このようなアイディアを出してみました。

  • カフェ等で、現在店内に流れているBGMを(iPhoneの画面に)紹介して、そのままWebストアに誘導することができます

この、ごく小さなアイディアをもう少し拡げられるか、考えてみます。
例えばカフェに流れるBGMを、お客さんである我々が選ぶことができたら面白いと思いませんか?
現代のジュークボックスです。

音楽好き……そうですね、もう少し限定して60-70年代のロックやポップスが好きな人たちが集まるカフェ、もしくはバーに居ると思ってみて下さい。コーヒーまたはビールを注文をした『あなた』のiPhoneには、その場限りのクーポンが発行され、専用アプリを介して店内のBGMを一曲選ぶことができます。有名どころの楽曲が続いた後なので、あまり有名ではないけどゴキゲンな曲を選んでみましょうか……。
……よし、ホワイト・プレインズの70年のヒット曲「My Baby Loves Lovin'」にしましょう。
選んだ後は、カラオケの順番待ちではないですが、しばしお待ちを。

My Baby Loves Lovin'

My Baby Loves Lovin'

  • White Plains
  • ¥150

……「My Baby Loves Lovin'」が流れてきました。

これが、センスの良い選曲であったならば、店内に居合わせた他のお客さんは「あれ?これなんて曲だろう?」となり、各々のiPhoneの画面で、誰のなんという曲なのかを確認することができます。
いいなぁと思った『だれか』は、その専用アプリの中で、Facebookの「いいね!」のような機能を持つボタンを押します。この「いいね!」が集まると、曲を選択した『あなた』にポイントがたまり、決められた数のポイントが集まれば、飲み物のおかわりが出来ます。さらに、2曲続けて「いいね!」を集められた場合、2曲目からは倍のポイントがつく特典があります。また、あまり利用しないカフェでポイントを受けてしまった場合は、退店時のお土産に交換することもできます。
さらにさらに「いいね!」とは逆の「ブーイング」ボタンも設置されているので、一定数以上のブーイングがあった場合、曲は途中で打ち切られてしまいます。
……先ほどの「My Baby Loves Lovin'」は、なんとか大丈夫なようです(笑)

他人にも「いいね!」や「ブーイング」など、より多くのアクションを行ったユーザーは、自分が曲を選んだ時にもポイントが割り増しでつくようにするなど、サービスが加速していく仕組みがあっても面白いでしょう。

また「いいね!」を押した『だれか』は、今流れるこの曲が欲しいのなら、アプリからリンクが貼られたiTunesStoreに移動し、流れた曲をその場で自分のiPhoneへと購入することができます。アプリ内では、店舗の持つアカウントを介してStoreにユーザーを誘導できるようサービスを設計すれば、iTunesStoreのアフィリエイトプログラムも利用できるかも知れませんね。工夫すれば、わずかかも知れませんが、店側にも直接的な報酬が生まれそうです。


……もちろん実現のためには、色々と問題やら障害がありそうです。

  • 全てのリストを店側が(iTunesStoreで楽曲を購入して)用意しなくてはならないのか?
  • 購入せずとも、直接Storeからフルコーラス流すことは出来ないか?
  • 各自のiPhoneからWi-Fi経由で直接、曲が流れたほうが便利だし面白いのではないか?
  • また、それらすべての場合で著作権使用料の問題は?……等々

他にも、選曲のためのリストはやはり店側である程度は管理するべきかも知れません。落ち着いた雰囲気の店内に突然AKB48が流れてしまったりしては、興ざめです。

著作権の問題にしても、以前JASRACから過去の莫大な使用料の請求を受けてしまったジャズ喫茶の話を読んだことがありますが、ネットの時代には、便利で手軽なサービスがみんなに支持され、古い慣習や体制を壊していく、という図式が至る所に見られるわけですから、規制の壁を乗り越えて、なんとか多くの人に支持されるようなサービスを実現したいものです。


ただ、常設のカフェで提供するサービスであれば、既に存在する無料Wi-Fiスポットでも良いのかもしれません。MACアドレスや専用サイトへのログインを促す事で、各端末の識別とリアルな世界とのヒモ付けもできそうです。
しかし、アカウントの作成等を廃し、代わりにビーコンを用いることで「簡単に参加して、後腐れなく」というログイン方法が構築できるのなら、そんな手軽さはとても魅力的だと思います。

また、例の小さな端末「ビーコン(このブログの先頭にある写真を参照)」の手軽さをさらに活かすのであれば、屋内外でのイベント等、期間限定だったり、電源も限られる場所で、同様のサービスを展開しても面白いでしょう。
フリーマーケット会場や車好きが集まるイベント、コミケ、アマチュアバンドが集まる屋外の音楽イベント……サッカー場に入れなかったサポーターたちを集めて、即席のカフェを設置しても良さそうです。

先ほどの例では現実の空間での「何か」とはすなわち「音楽」でしたが、他には何が考えられるでしょうか。

映像?アプリ?それとも、本など実際に手に取れるような品物でもいいのでは……。
 

■ 他にもっとアイディアは?

昨年春頃、ずいぶんそのサービス名を見かけた「Wrapp」は、その後どうなったのでしょうか?
スウェーデン発祥のO2Oのギフトサービス、という触れ込みでしたが、このサービスなどもiBeaconと相性が良さそうですが……。

Wrappのその後を知っている方はいらっしゃいますか……?